アドニスとヴィーナス

365日 光と闇の暦 4月9日 美と暴力 アドニスとアレス

今日の光の神:アドニス(ギリシャ神話・美青年)

 アドニス(Ἄδωνις/Adōnis)はギリシャ神話の美青年でフェニキアの王の血を引いています。その美しさは人間の域を超えると謳われ、アフロディーテ(Ἀφροδίτη/Aphrodítē)は愛の女神でありながらこの青年に恋をしました。アドニスは狩りを好み、野を駆け回る日々を送っていましたが、ある日野猪に襲われて命を落とします。駆けつけたアフロディーテの足元で、アドニスの血は赤いアネモネの花に変わりました。野猪を送ったのは嫉妬に狂った軍神アレスだったとも伝えられています。

今日の闇の神:アレス(ギリシャ神話・戦争の神)

 アレス(Ἄρης/Árēs)はギリシャ神話の戦争の神で、ゼウス(Ζεύς/Zeús)とヘラ(Ἥρα/Hḗra)の息子です。アレスは血なまぐさい戦場を好むため、オリュンポスの神々の間でも評判がよくありませんでした。アフロディーテの愛人でもあったアレスは、彼女の心が若く美しいアドニスへ移っていくのが我慢できなかったのでしょう。邪魔者を排除してもアフロディーテの心が戻ってくるはずもないのに、自ら野猪に姿を変えてアドニスの命を奪ったとも、野猪をけしかけたとも言われています。

光と闇

 命を落としたアドニスから花が咲いたように、美は壊されてもその姿を変えて残ることがあります。アレスは暴力的に邪魔者を消しましたが、それによって得たものは何もなく、アフロディーテはアドニスを悼み続けアネモネを愛しました。嫉妬に駆られて破壊的な行動をしたとしても、欲しかったものは逆に遠ざかってしまうのかもしれません。

この日のテーマ 嫉妬という破壊

 誰かが成功した場面を見て「おめでとう」と言いながら、胸の奥がざらついたことはないでしょうか。ざらついた嫉妬に駆られて相手を引きずり下ろそうとしたとしても、実際にそうしたところで自分の状況は何も変わりません。相手の花を踏みにじって自分の庭に植え替えることはできないのです。嫉妬心という重い感情に駆られて行動したら、私たちは何を失うことになるのでしょうか。

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