365日 光と闇の暦 2月28日 知恵と迷い 虚空蔵菩薩とマーラ
今日の光の神:虚空蔵菩薩(仏教・無限の智慧の菩薩)
虚空蔵菩薩(こくうぞうぼさつ、आकाशगर्भ/Ākāśagarbha)は、その名の通り「虚空(広大な宇宙)を蔵とする」菩薩です。虚空が無限であるように、その知恵と慈悲も尽きることがありません。記憶力を高める虚空蔵求聞持法の主尊としても知られ、古来より空海を始めとする多くの修行者がその知恵を授かろうと祈りを捧げてきました。広大な宇宙のようにすべてを包み込み、人々を救うための宝を無限に引き出す虚空蔵菩薩は、迷える者を導く至高の知恵の象徴です。
今日の闇の神:マーラ(仏教・魔王)
マーラ(Māra/魔羅)は仏教において修行者の悟りを妨げる魔王です。釈迦が菩提樹の下で悟りを開こうとしたときには美しい娘を送り込んで誘惑、恐ろしい軍勢を差し向けて恐怖を煽るなど、あらゆる手段で妨害を試みました。しかしマーラの本質は外部からの攻撃ではありません。私たちの心の内側に潜む欲望、恐怖、疑念などの「迷い」がマーラそのものです。光が強ければ影も濃くなるように、悟りへ近づこうとする者の心の隙をマーラは常に狙っているのです。
光と闇
虚空蔵菩薩の知恵は虚空のように果てしなく、対するマーラはその広大な空間の至る所に潜んでいます。仏教には「煩悩即菩提(ぼんのうそくぼだい)」という言葉があります。迷いや悩みがあるからこそ、それを糧に悟りを求めることができるという意味です。闇がなければ光の存在を証明できないように、誘惑や苦難があるからこそ虚空蔵菩薩の知恵は輝きます。マーラを力で排除するのではなく正体を見透かすことで無力化し、あるべき場所に還そうという慈悲深い光です。
この日のテーマ:あなたの蔵に眠るもの
虚空蔵菩薩の蔵が「一切を包み、不足がない」ものである以上、そこには知恵だけでなく必然的に迷いや悩みも存在します。蔵にあるものはすべて、あるべくしてそこにあります。自分の中にある負の側面は本当に「排除すべき敵」で、追い出さなければならないのでしょうか。影を必死に追い払おうとすれば、蔵の中に何があるのかを直視することはできません。闇もまたあるべき一つの要素だと認めたとき、初めてその正体を見通す知恵が働きます。光と闇が混在するその蔵を開き、あなたは何を引き出すのでしょうか。