ロンドンハンマー

オーパーツ大好き!ロンドンハンマー

S. J. Miba, CC BY-SA 4.0 https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0, via Wikimedia Commons

 オーパーツ大好き!、今回は「ロンドンハンマー」をご紹介したいと思います。ロンドンと言ってもイギリスのロンドンではありません。アメリカのテキサス州にロンドンという小さな町があり、その付近で発見されたためにそう呼ばれるようになりました。「ロンドン遺物」とも呼ばれています。

 このハンマー、何がすごいかと言うと、発見された地層がなんと約4〜5億年前のオルドビス紀のものだとされているんです。オルドビス紀と言えば、地球の大部分が海だった時代。陸上には植物すら本格的に進出しておらず、もちろん人類なんて影も形もありません。そんな時代の地層からハンマーが出てきたら、そりゃあ大騒ぎになりますよね。

 発見されたのは1936年6月のこと。マックス・ハーン(Max Hahn)と妻のエマがレッドクリーク渓谷を散歩していた時、木の芯のようなものが突き出た奇妙な岩を見つけました。二人は不思議に思ってその岩を持ち帰り、後にハンマーとノミで割ってみることに。すると中から出てきたのは…なんと鉄製のハンマーだったのです。

 このハンマーの頭部は長さ約15cm(6インチ)、直径約2.5cm(1インチ)。成分を分析したところ、鉄96.6%、塩素2.6%、硫黄0.74%、珪素0.06%という結果が出ました。特に注目されたのは塩素を含んでいる点で、「現代の技術でも作れない合金だ」と主張する人もいます。さらに発見されてから錆びていないというのも謎とされています。

 また、木製の柄の一部が石炭化し始めているのも興味深い点です。木が石炭になるには通常、数百万年以上の時間がかかると言われていますから、これが本当なら相当な年月が経っていることになります。

 このハンマーは長らく地元の珍品として知られる程度でしたが、1983年に創造論者のカール・ボー(Carl Baugh)に購入されてから一躍有名になりました。ボーは「ノアの大洪水以前の遺物だ」として、テキサス州グレンローズにある創造証拠博物館に展示しています。現在もそこで見ることができ、レプリカも販売されているそうです。

 さて、ここからが重要なんですが、このオーパーツには多くの疑問が呈されています。

 まず古生物学者のグレン・クバン(Glen J. Kuban)による調査があります。クバンはハンマーを包んでいた岩石に着目しました。発見者の証言によると、このハンマーは地中深くから出土したというよりも、地面に突き刺さっていたような状態だったそうです。つまり、古代の地層から掘り出されたわけではない可能性があるんですね。

 また1985年、地質学者ジョン・コールは「ハンマー自体は操作ではないが、近代のハンマーがオルドビス紀の地層に落ちた後、鉱物が空の空間を埋めたか、石灰岩質の岩石層に刺さった状態で石化した可能性がある」と説明しています。石灰岩は化学的に溶けやすい性質があり、特定の条件下では比較的短期間でコンクリーション(団塊)を形成することがあるんです。

 1989年のX線断層検査では、ハンマーの頭部から腐食による塩化鉄が検出されました。これは「現代技術でも作れない合金」という主張に疑問を投げかけるものです。

 実際、ハンマーの形状を見ると、19世紀のアメリカで使われていた一般的な鉱山用ハンマーにそっくりなんですよね。テキサス州は19世紀に鉱山開発が盛んだった地域ですから、当時の鉱夫が落としたハンマーが石灰岩質の環境で岩に包まれた…という説明は十分にあり得ます。

 ただし、所有者のボーは独自の検査しか行っておらず、その結果を公開していません。科学的な年代測定、例えば木製の柄の炭素14年代測定なども行われていないため、正確な年代は不明なままです。このあたりが謎を深めている部分でもあります。このロンドンハンマーの話は、インターネット上で広まるにつれて「4億年前」「5億年前」「1億年前」と言われる年代がどんどん変わっていきました。オーパーツの話って、伝言ゲームのように変化していくものなんですね。

 結局のところ、ロンドンハンマーは「本物のハンマー」ではあるけれど、「4億年前のオーパーツ」かどうかは非常に疑わしいというのが現在の見方です。とは言え、なぜ19世紀のハンマーが岩に包まれていたのか、その過程を完全に解明した人はいません。皆さんはこのハンマー、古代の遺物だと思いますか? それとも近代のハンマーが自然現象で岩に取り込まれただけだと思いますか?それでは今回はこの辺で。

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