フォモール族

365日 光と闇の暦 2月21日 神々の母と混沌の民 ダヌとフォモール族

今日の光の神:ダヌ(Danu/Dana アイルランド神話・大地母神)

 ダヌ(Danu/Dana)はトゥアハ・デ・ダナーン(tuːaθa ðʲeː ðaNaN/Tuatha Dé Danann、ダナの民)、別名ダーナ神族の祖と言われながら、歴史に姿を現すことのない沈黙の大地母神です。彼女自身の神話はほとんど失われていますがその名は「流れ」を意味し、文明や魔術を操る輝かしい神々の血脈をひっそりと支え続けています。ダヌはいわば「表舞台で喝采を浴びる英雄たちの背後に、音もなく横たわる巨大な大地」。語られないことでかえってその根源的な強さが際立つ、神秘に満ちた不在の母です。

今日の闇の神:フォモール族(Fomóire アイルランド神話・混沌の巨人族)

 フォモール族(Fomóire)は霧深い海から現れるアイルランド神話の巨人族です。彼らは片目、片腕、動物の頭などの歪な姿で描かれ、秩序が生まれる前の荒々しい原始の力、混沌と暗闇を象徴しています。トゥアハ・デ・ダナーンとの戦いに敗れて海の底へと追いやられましたが、彼らが滅びることはありません。隙あらば陸へと這い上がり、築き上げられた秩序を破壊しようと目を光らせています。私たちの心の奥底に眠る、制御不能で破壊的な野生の残滓とも呼べる存在です。

光と闇

 光と秩序のトゥアハ・デ・ダナーン、闇と混沌のフォモール族。相容れないように思える両者ですが、偉大な英雄ルー(Lugh/光と全能の神)には、父方の神族の血と母方の巨人族の血が流れていました。光は闇から生まれ闇は光の影として寄り添う、お互いになくてはならない存在です。私たちの中にも秩序を望む気持ちとすべてを壊したくなる混沌が同居しています。この相克こそが生命のダイナミズムなのではないでしょうか。

この日のテーマ 語られない存在の力

 あなたの人生を根底から支えているのに、一度も名前を呼ばれたことがない「何か」に思いを馳せてみませんか?脚光を浴びる才能や功績の裏側で、静かにあなたという存在を支え続けている名もない感情や忘れ去られた記憶たち。それはダヌのように、語られないからこそ強い力を持っています。意識の表面に浮き上がることのない力強い沈黙に目を向けたとき、あなたは自分を支える本当の力の源に気づくかもしれません。

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