オイリュトミー療法とは何か 音と身体をつなぐシュタイナー医学の運動療法
オイリュトミー療法は、言葉に含まれる母音や子音の響きを「身体の動き」にして表すという特徴的な運動療法です。シュタイナー教育やアントロポゾフィー医学に興味がある方は、名前を聞いたことがあるかもしれません。ルドルフ・シュタイナーによって体系化され、現在では世界40か国以上で実践されています。
オイリュトミー療法とは 言葉の響きを身体の動きに変える運動療法
オイリュトミー(Eurythmie / 英語ではユーリズミー)は、ギリシャ語の「eu(美しい)」と「rythmos(リズム)」に由来する運動芸術です。オーストリアの思想家ルドルフ・シュタイナーによって生み出されました。
シュタイナーは人智学やシュタイナー教育で知られていますが、医療の分野ではアントロポゾフィー医学(人智学医療)を提唱しました。オイリュトミー療法はその医療体系の一部として実践されたものです。
一般的な運動療法と大きく異なる点として、言語や音楽の響きを身体の動きに「置き換える」ことが挙げられます。人が話すときは喉頭や呼吸器官、舌や唇などが複雑に連動して動いています。オイリュトミーでは、こうした発声時の微細な動きを全身を使って表現します。
シュタイナーはこの療法を「内なる体操」と呼びました。言葉が持つ「形づくる力」を身体で感じることで心身のバランスが整うという考え方です。現在では2000人以上の療法士が活動しており、ドイツやスイスでは医療保険の一部適用対象となっています。ヨーロッパでは補完療法として広く受け入れられていると言えます。
オイリュトミー療法の効果
オイリュトミー療法の効果については複数の臨床研究が行われています。ここでは代表的な研究を紹介します。
慢性疾患に対する4年間の追跡調査(AMOS研究)
ドイツで実施されたAMOS研究(Anthroposophic Medicine Outcomes Study)は、オイリュトミー療法に関する最も大規模な研究の一つです。慢性疾患を持つ419名の患者を対象に、4年間の追跡調査が行われました。
対象となった疾患は、うつ、慢性疲労、筋骨格系疾患など多岐にわたります。その結果、症状の程度と生活の質(QOL)の両方で統計的に有意な改善が報告されました。副作用が見られたのは全体の3.1%で、治療を途中でやめた患者はいませんでした。
慢性腰痛に対する比較研究
慢性的な腰痛を持つ患者を対象にした比較研究では、オイリュトミー療法を受けたグループと、従来の治療を受けたグループの療法で症状の改善が見られました。効果の大きさを示す指標はオイリュトミー療法群でES 1.00(大きな効果)、従来療法群でES 0.57(中程度の効果)と報告されています。
がん関連疲労に対するオンラインプログラム
2024年に発表された研究では、がん関連疲労(Cancer-Related Fatigue)を持つ患者125名を対象に、8週間のオンラインオイリュトミープログラムが実施されました。その結果、疲労感やストレスの軽減、自己認識力の向上が確認されています。