スピリチュアルな進化の鍵(前) アリス・ベイリーの「イニシエーション」とは
「イニシエーション」という言葉を聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。ここ数年のスピリチュアルではかなりよく出てくるようになった言葉なので、なんとなく目にしたと言う方もいらっしゃるかもしれません。ですが、それが一体何を意味しているのか、具体的な説明を受けたことはあるでしょうか。
今回はアリス・ベイリーの著書『Initiation, Human and Solar』を参考に、「イニシエーション」の意味とプロセス、宇宙観について考えてみたいと思います。
単なる儀式ではないイニシエーション
「イニシエーション(Initiation)」はラテン語の「initium」に由来し、「始まり、中に入ること」を意味する言葉です。この言葉をアリス・ベイリーが使うとき、その意味はさらに壮大で構造的なものになります。彼女は「イニシエーション」を、一人の人間が無知から叡智へ、自我から宇宙意識へと進化段階を昇っていくプロセスだと考えていました。
この進化には意識の拡張やチャクラの変容、エネルギーの電気的な再構成など、極めて科学的なステップが伴います。それぞれの段階においてある閾値を超えた瞬間、それまでの自分には決して扱えなかった新たな次元のエネルギーに「耐えられるようになる」。これを彼女はイニシエーションと定義しました。
例えばそれまで「SNSでの評価を気にしていた自分」が、ある日「自分は本当は何を求めているのか?」という疑問を持ち、自分自身の基準で人生を再構築しようとするなどの内的な変容。この内側で起きた変容もまた、ひとつのイニシエーションだと言えます。
人間の構造──三位一体としての魂
アリス・ベイリーは人間を「三重の存在」と考えていて、その構造は次の通りです。
モナド(Monad):霊(スピリット)の源。「父なる神」。意志と目的の本質的な源。
エゴ(Ego):いわゆる魂。「中間者」。愛と叡智の媒体。※「悪いもの」という扱いはしていない
パーソナリティ(Personality):現実に肉体・感情・思考を持つ自我。
イニシエーションとは、この三つが徐々に「整列」し、最終的にモナドの意志が行動に反映されるようになるプロセスを含みます。この「整列」は、1番からの順序で起こります。
1. パーソナリティの統合...思考・感情・行動の一致
2. エゴとパーソナリティの融合
3. モナドと魂(エゴ)の融合
これは、神智学で「意識の拡張」と呼ばれる現象です。つまり、自分の中にある思考・感情・行動といったバラバラな要素が、ある瞬間から“ひとつの深い目的”に向かって統合されていくプロセスのことです。
例えば「仕事は生活のためにしなければならないもの」「感情は爆発しそうになっても抑える」「考えるのは効率よく動くため」というように、バラバラな軸で自分を動かしている人がいたとします。ところが親しい人の死に直面した、体調を崩した、一冊の本に感銘を受けたなどの出来事があって「自分は何のために生きているんだろう?」という問いが胸に湧いてくる。
その人は「この仕事は誰のためになっているのか?」と考え始め、感情の爆発を抑える代わりに「なぜ自分はこの場面で怒るのか?」を見つめるようになり、分析するのではなく内観するといった変化が起きるでしょう。やがてその人の中に「自分らしく誰かのために生きることが本質」という軸が出来てきて、すべての行動・感情・考えがその軸に沿って動いていきます。
「分離していた自分の内面が、魂の目的に向かって集まり始める」現象が、イニシエーションの第一段階を通過した証と言えるでしょう。