隙間女

世界の都市伝説:隙間女

 世界の都市伝説を巡るお話、略して『せとでん』。名古屋を走る電車とは全く関係ありませんのであしからず。

 今回は都市伝説と言うか怪談と言うか「隙間女」と言うお話を。ふと思い出してしまったので紹介しておかないといけない気がしたんです。2000年代前半くらいに流行ったんですよね。桜金造ってコメディアンの方がいるんですけど、確かその方がホラービデオを出していて、その中で話したことで広まったんだと思います。

 その内容は、友達が同僚が無断欠勤をしているから様子を見てきて欲しいと言われて、家が近所だった桜金造に一緒に行ってくれないかと言われます。二人で同僚のアパートに行くと同僚は部屋の中にいるのですが部屋の様子がおかしい。真夏だと言うのに窓も雨戸も閉め切ってコタツの中にいるのです。みんな心配してるし、こもりっきりだと体に悪いからご飯でも食べに行こうよと誘うんですが、その同僚は「女が寂しがるんだよ」と断ります。

 桜さんと友達は女なんていないよ?と言うのですが、同僚はそこにいるじゃないかと。見えないの?そこにいるじゃないか、ほらそこ。と指さしたところは壁と食器棚の隙間でした。よく見てみるとその隙間に髪の長い、赤いワンピースを着た細い女がいたそうです。え?と思ってじーっとよく見ると、その女がスーッとこっちを振り向いたところで叫び声をあげながら桜さんと友達はアパートから逃げ出したそうです。

 何気ない家具と家具、壁の隙間と言う狙って作ったのではない空間に何かが潜んでいる恐怖でこの話は一気に広まりました。隙間女と言えばこの話か少しディテールが違う話かだと思うのですが、私が友達から聞いた話は少し違うんです。いわゆる友達から聞いた別の友達の話、”Friend Of A Friend”になってしまうので、信用出来る話かどうか。判断はお任せします…。

 友達の友達、仮にハヤトくんとしましょうか。体験談風になってしまいますがご容赦くださいね。


 その日、ハヤトはいつもより仕事が遅くなり、帰り着いたのは終電の時間だったそうです。連日残業続きで疲れた体を引きずりながら家に着いて、シャワーに入るのも面倒になって布団にそのままダイブしたんです。

 一瞬寝てしまったのか、まどろんだ現実なのか夢なのかわからない変な感じがしたそうです。「ちゃんと寝るかぁ」と思ったところで違和感に気づきます。閉めたはずの部屋のドア、1Kの部屋のキッチンと部屋を分かつドアが少しだけ開いていることに気づきました。

「…あれ?閉めたよな?」

 と良く見ようと思った瞬間、心臓の鼓動が一気に跳ね上がるのを感じました。その隙間の上の方、確かに”目”が覗いていました。
ぎょろりとこちらを見たまま動かない視線。どう見ても人間の女性の目です。何も言わず、ただただじっと。

 とてつもない恐怖に襲われたハヤトは声をあげたくても喉が詰まって声が出せず、逃げ道も塞がれている上に、体を動かそうと思っても重くて思い通りに動けない。ハヤトに向けられたその”目”から視線を外せずにいると、少し微笑んだように目を細め、スッと消え、音もなくドアが閉まったそうです。

 ハヤトは”気のせいだ、夢だ、疲れているからこんな錯覚が見えるんだ”と自分に言い聞かせ、布団を頭からかぶりました。

「でも、どこかおかしい…。何か気配がする…。」

 怖いと思いながらも気配を感じた方、テレビとテレビ台の隙間に目を向けると…。そこにはこちらをじっと見つめる”両目”がありました。

 ハヤトはそこで意識を失ってしまい、朝、アラームの音で目が覚めました。改めて部屋を見回してみるも、特に何も変化はなく、いつもの部屋だったそうです。


 これが今回紹介したかった「隙間女」です。これもどこかで聞いたことあるなーって思う方がいるかも知れませんが、聞いたことあるって言うのは同じような体験をした人が多いって事ですよ。作り話でしょ(笑)って切り捨ててしまうのは簡単ですが、気づいていないだけでもしかするとその隙間、そこの隙間、背中側の隙間、視界に入ってない隙間、気づいていない隙間、そのスマホを持ってる親指とスマホの隙間から、こっちを覗いている”目”があるかも知れないんです。

 ハヤトくんはその後もう一度隙間から覗く目を見てしまったので、流石に怖すぎて引っ越しをしたって聞きました。どこだったんだっけな…聞いたような聞いてないような…。

 何故か今ふと思い出した「隙間女」でした。

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