『メキシコの神々』第一章・序論 1-6 原始的影響の証拠
※著作権の切れた書籍を翻訳・意訳して掲載しています。『The gods of Mexico』Lewis Spence 翻訳した文章©StellaCircus
原始的影響の証拠
ここで前述の要素に加え、信仰の初期段階における構成要素を検討してみよう。地球そのものが生命を持ったモンスターだという概念は明らかに「アニミズム」または「擬人化」に由来していて、それ以上の注釈は不要だろう。穀物も擬人化されていたが、初期の時代には「フェティッシュ(物神)」的性格を帯びていたという証拠がある。
すでに言及したコアトリクエ(Coatlicue)の巨大な石像は、大地の母が竜のような性質を持っていたことを示している。そして同時に、トウモロコシの束から作られた呪物的な特徴が見られる。大きな豆が目を、カボチャの種が歯を表し、紙の帯が口と唇飾りとなっていた。こうした初期の特徴は、後の時代になってからの複雑な思想から発生する象徴主義によって隠されている― 犠牲者の皮膚、蛇の頭(おそらく切断された胴体から吹き出る血を表す)、神話がこの女神に与えた蛇のスカートなどだ。だが、驚くほど精巧に彫られた石の粗雑さの中に、トウモロコシの束の輪郭を見て取るのは容易い。トウモロコシの穂と葉が蛇のスカートの下から垂れ下がり、背後の結び目を飾っている。
「フェティッシュ」起源の神々
偉大な神々の中には、その起源がフェティッシュ的であることを示すものが複数存在する。アステカ=メキシコ=テノチティトランの部族的守護神であるウィツィロポチトリ(Uitzilopochtli)は、北の土地アストラン(Aztlan)から部族を導いた際に「小さな鳥」の姿で現れたという伝承がある。ウィツィロポチトリは絵文書においては稀にしか描かれないが、ハチドリの羽で作られたマントをまとっていることが多い。
後代の伝説では、彼は植物の女神である母を弁護する者であり、異父兄弟たちを殺す者とされている。かつて戦争はウィツィロポチトリの神託によって行われ、その儀式は人身供犠を必要とした。彼を取り巻く信仰の根底を調べてみると、彼を信仰する民がアナワク(メキシコ中央高原)に到着した後、彼がマゲイ(リュウゼツラン)という植物と同一視されたことを示す多くの証拠が見いだされる。この起源に関しては、後の章で改めて述べる。
テスカトリポカ(Tezcatlipoca)という神も似たような起源を持つ。彼はメキシコの神々の中でも最も広く恐れられた存在だが、その正確な意義はよくわかっていない。テスカトリポカの初期の意義は黒曜石との関係から生まれたが、黒曜石はメキシコ人にとって特別な神聖性を持つ物質だった。
『メキシコの神々』ルイス・スペンス 序章
『メキシコの神々』第一章・序論 1-1
『メキシコの神々』第一章・序論 1-2 メキシコ宗教の古代性
『メキシコの神々』第一章・序論 1-3 メキシコ宗教の起源 ― 異文化融合と信仰体系の形成
『メキシコの神々』第一章・序論 1-4 メキシコにおける初期宗教の痕跡
『メキシコの神々』第一章・序論 1-5 成長の要素の神格化