ロンゴロンゴとは?イースター島に残された未解読文字の謎
Carlos Reusser Monsalvez from Santiago, Chile, CC BY 2.0 https://creativecommons.org/licenses/by/2.0, ウィキメディア・コモンズ経由で
イースター島といえば、巨大な石像モアイを思い浮かべる人が多いのではないだろうか。だがこの島にはもうひとつの謎が眠っている。それが木の板に刻まれたロンゴロンゴ(Rongorongo)、誰にも読めない文字だ。太平洋の絶海にある小さな島で、なぜ独自の文字体系が生まれたのか。そしてなぜ読み方が完全に失われてしまったのだろう。
論語論語の発見と今に残る資料
ロンゴロンゴが知られるようになったのは1860年代のことだ。1864年にフランス人宣教師ウジェーヌ・エイローがイースター島を訪れたとき、文字が刻まれた木板が島民の家にあると報告を上げた。そういった板は日用品として、もしくは薪用に使われていたという。
だがエイローの報告からわずか数年で島の人口が激減する。奴隷狩り、天然痘の流行が主な原因だ。そしてキリスト教への改宗に伴って伝統文化は放棄され、1870年代にロンゴロンゴを読める者は一人も残っていなかった。
現在確認されているロンゴロンゴの資料は、世界各地の博物館に散らばる約26点の木製品のみ。板(タブレット)、杖、胸飾りなど形状はさまざまだ。ローマのコングリゲーション聖心会に4点、サンティアゴにあるチリ国立自然史博物館に7点、ワシントンD.C.の スミソニアン協会には2点、大英博物館に1点、そのほかウィーン、ベルリン、サンクトペテルブルクなどそれぞれに各数点ずつ。
その全てを合わせてもテキストの総量は約14,000字程度で、解読の手がかりとしては極めて少ない。
文字の特徴 逆さまに読む
ロンゴロンゴの文字はその見た目からして独特だ。人間、鳥、魚、植物などを図案化したような記号で、約600種類が確認されている。字を書く方向も珍しい「逆牛耕式」で、1行読み終わったら板を180度回転させ、2行目は逆さにして読む。古代ギリシャ文字にも牛耕式は存在したが、上下反転まで伴うものはロンゴロンゴ以外に例がない。
字が刻まれたのは主にトロミロ(Toromiro)と呼ばれる島固有の木または流木で、サメの歯や黒曜石で彫られたと推測されている。
なぜ解読できないのか
ヴォイニッチ写本と同じように、ロンゴロンゴにも「ロゼッタ・ストーン」がない。ロゼッタ・ストーンとは同じ内容が複数の言語で書かれた碑文のことで、エジプトの聖刻文字(ヒエログリフはギリシャ語と対照できたので解読が可能だった。ロンゴロンゴには対訳資料が存在せず、読める島民は亡くなったり文字を忘れたりで「これはこう読む」という手がかりが完全に失われてしまった。
さらに問題なのは資料の少なさだ。約14,000字では統計的な分析を行うには心許ない。比較対象となるラパ・ヌイ語の口承資料は多少残っているが、それがロンゴロンゴと対応するかは不明だ。