オーディン像 ストックホルム博物館

365日 光と闇の暦 2月20日 光の代償と闇に落とされた怒り オーディンとフェンリル

今日の光の神:オーディン(北欧神話・最高神)

 オーディン(Óðinn/Odin)は北欧神話の最高神とされる神で、名前の由来は「狂気の主」。知識が得られるという知恵の泉ミーミルの水を飲むため、自らの片目を代償として捧げました。またルーン文字の秘密を得るため、九日九夜のあいだ世界樹ユグドラシルに吊られたこともあります。オーディンは知識を得るために犠牲を払うことを厭いませんでした。思考と記憶を表す二羽の鴉フギン(Huginn)とムニン(Muninn)を世界中に飛ばして情報を集めています。オーディンはラグナロクで自らがフェンリルに飲み込まれる運命なのも知っていました。あらゆる知識があっても運命は変えられないのです。

今日の闇の神:フェンリル(北欧神話・神々に災いをもたらす狼)

 フェンリル(Fenrir)は北欧神話の巨大な狼でロキの子供の一人、兄弟にはヨルムンガンドやヘルがいます。当初は普通の狼と変わらない大きさでしたが、やがて神々を脅かすほど強くなったため騙し討ちに遭い、魔法の紐グレイプニルで縛られて地中へと落とされました。フェンリルはこのとき軍神テュール(Týr)の右手首を食いちぎっています。フェンリルは終末の時に解き放たれてオーディンを飲み込み、すぐにオーディンの息子ヴィーザル(Víðarr)に顎を引き裂かれて死ぬ運命でした。フェンリルは制御できない力、抑圧された怒りを象徴しています。

光と闇

 オーディンは知恵を得るために自分の片目を、ティールは制御しきれなくなったフェンリルを縛るために片手を失いました。何かを得るために何かを失うという図式です。北欧神話にはこの「リスクを取らずに大きな成果や平和を得ることはできない」という原則が繰り返し描かれています。オーディンが片目を失ってまで飲んだ泉の水は世界の終焉という未来を伝え、フェンリルは拘束されたことで神々を恨んでラグナロクを起こすことになりました。どちらも不条理な目に遭った結果がラグナロクだったと言えるのではないでしょうか。

この日のテーマ 光の代償と闇に落とされた怒り

 オーディンは自分自身を完成させるための痛み、フェンリルは騙されて社会に排除された痛みを背負っています。今あなたが手にしている安らぎが、誰かを悪者に仕立て上げてその人の気持ちや自由を犠牲にすることで成り立っているとしたら、あなたはそれを平然と享受できるでしょうか。オーディンもフェンリルも「完全な善悪」として描かれているわけではありません。私たちの世界は不条理なバランスの上に成り立っていて、常にラグナロクを迎える可能性がないとは言えないのです。あなたはどちらの側でラグナロクを迎えたいですか?

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