バステト像

365日 光と闇の暦 2月22日 猫の女神と蛇の闇 バステトとアポピス

猫の女神と蛇の闇
今日の光の神:バステト(エジプト神話)

 バステト(𓎯𓏏𓏏𓁐/Bastet)は古代エジプト女神で、猫の頭を持っています。当初は獰猛なライオンの姿でしたが、新王国時代からは穏やかな猫のバステト、破壊的なライオンのセクメトと役割が分かれました。下エジプトのブバスティスではバステトを称える盛大な祭りが行われ、ヘロドトス(Ἡρόδοτος/Hēródotos)の記録では何十万人もの巡礼者が集まったといいます。

 バステトは彼女は家庭や出産を守り、音楽を愛する優雅な存在ですが、その内側には必要とあらば顕現する獅子の本性を秘めています。バステトの体現する平和とは、愛するものを守り抜くという強固な意志によって能動的に維持される均衡です。

今日の闇の神:アポピス(エジプト神話)

 アポピス(𓉼𓊪𓊪/ꜥꜣpp、ギリシャ語形アポピス/Apophis)は冥界ドゥアトに潜む混沌の大蛇です。毎晩、太陽神ラーの船を襲い、世界を無に引き戻そうと企てます。この戦いではセトが舳先に立ち、秩序のために矛を振るいます。毎朝太陽が昇るのは、ラーたちが夜毎に勝利を収めている証です。

 アポピスが恐ろしいのは、どれほど傷ついても次の夜には回復し、再び襲いかかってくるところにあります。アポピスは光あるところに必ず生じる、消し去ることのできない負の可能性そのものです。それは純粋な混沌とも言えます。

光と闇

 バステトが守る家庭の安らぎも、ラーが守る宇宙の夜明けも、一度の勝利で完結するものではありません。秩序とは完成された答えや状態ではなく、常に侵食を試みる混沌・アポピスを倒し続ける「絶え間ないプロセス」なのです。私たちが平穏を感じる瞬間にも、その境界線では目に見えない戦いが繰り広げられているのかもしれません。

この日のテーマ 繰り返される戦い

 もしアポピスが死んですべての戦いが終わったら、そこには何が残るのでしょうか。 私たちが夢見る「悩みのない完璧な静止」は、生の実感すらも失った「虚無」と似たものかもしれません。終わりのない葛藤は、あなたが無に呑み込まれずに存在し続けている何よりの証拠です。「終わらない絶望」と認識するか「生を更新し続けるための儀式」と認識するかによって、私たちの一日は暗くも明るくもなるでしょう。戦いが続くこと、それ自体があなたがここに存在している唯一の証明なのではないでしょうか。

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