魔女になりたい人へ 9
恋のお薬、欲しいですか?
白髪頭の魔女がいーひっひっひ!と笑いながら大釜をかき混ぜて、作る恋の秘薬。昔からこうした薬はラブポーションと呼ばれてきました。伝統的なラブポーションは、恋愛感情や強い魅力を引き起こすとされる魔法の飲み物や薬のことを指します。現代では、この用語は比喩的に用いられることが多く、特に香水などにロマンチックなイメージを追加するために使われているように思えます。
昔の魔女たちも、色々なラブポーションを作ってきましたが、その大半はとても素朴なものでした。現代ほどさまざまな刺激がなかった時代を考えてみましょう。片思いを叶えて欲しくて、魔女のおばあさんの家まで来た、十五歳くらいの少女を想像してみましょう。
明日は一年に一度のお祭りで、隣村からもたくさんの青年が集まります。彼女は明日こそ、この思いを伝えたい、と思い切って魔女の家を訪ねると、何もかもわかっているよ、というしたり顔の魔女は
「満月の夜に集めた薔薇の雫を、あんたのほっぺに塗ってあげるよ。これで彼を思い切り見つめれば、もう、彼の心はあんたのもんだよ……」
と言いながら、良い香りのする薬を彼女の頬に塗ってくれました。
翌日の夜、思い切りのおしゃれをして期待と恥じらいで頬を染めた少女は、精一杯の気持ちを込めてお目当ての彼を見つめます。そんな熱い眼差しを受けた青年が、何かを感じないわけはありません!
そう、本物のラブポーションは、怪しい媚薬でも、現代のバイアグラのような不自然な催淫薬でもありません。その中身は自身がなくて恋に一歩を踏み出すことができない人を勇気づけたり、あるいは自分なんて誰からも愛されるわけがないといじけている人が愛に気づくようにするための「ちょっとした一押し」なのです。それさえわかれば、あなたにだって、効果的なラブポーションは作れます。素敵な配合、編み出してくださいね。
(ヘイズ中村 魔女・魔術師&占い師・執筆家
中学生時代から研究と修行の道に入ったのに神秘性の欠片もない神秘家
HP https://www.fortunamoon.com)