満月の夜

殺す夢、殺される夢

 ほとんどの人が現実では体験する可能性がないのに、夢ではかなり頻繁に登場してくるイベント……それが「殺人」でしょう。一般的に、死に関する夢は吉夢だとされていまず。大きな境目を象徴するため、過去の自分に決別する、複雑なトラブルから一気に脱出する、といった状況を示唆するからです。多くの場合、夢の中での死への過程が激しいほど、現実の状態も急激に変わっていくとされています。これは、「死」という生物にとって最もショッキングな状態を夢で疑似体験しておくことで、現実世界での急展開に柔軟に対応できる、という準備運動なのかもしれませんね。

 逆に殺人を犯す夢を見た場合、従来はその相手を激しく憎んでいるのに現実では抗議もできないような状態にあるとか、その相手に強烈な嫉妬を感じている、といった解釈がされてきました。つまり、抑圧されてはいるものの、実際に相手を殺したいと思うほどの強い感情や衝動を抱えていて、代替行為として夢に見ている、というわけです。

 分かりやすい理論だが、これだと実在の人物かその特徴を帯びた相手が夢に登場してくるはずだし、なぜ自分がそんな夢を見たのかも見当がつくはずです。でもブログなどで自分の夢を語る人が増えてきた最近では、相手に全く心当たりがなかったり、一体全体、なぜこんな夢を見たのか分からない、というキツネにつままれたような気持ちで目覚める人が多いのも判明しつつあるようです。

 そのせいか最近では、夢の中で殺される相手もまた、姿を変えた自分自身なのだ、という心理学的な理論が夢の解釈に応用されるようになりました。つまり、それはあなた自身がうっすらと意識し始めている、内面に秘められた可能性に気付くチャンスであり、新たな自分への生まれ変わりの夢なのです。ときには現実世界で辛い思いをすることもあるでしょうが、そこから目を背けずに、フレッシュな自己へと向き合ってみるようにしましょう。

(ヘイズ中村 魔女・魔術師&占い師・執筆家
中学生時代から研究と修行の道に入ったのに神秘性の欠片もない神秘家
HP https://www.fortunamoon.com)

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