セドナ

365日 光と闇の暦 3月28日 海の女神と残酷な父 セドナとアングタ

今日の光の神:セドナ(イヌイット神話・海の女神)

 セドナ(ᓴᓐᓇ、Sanna)はイヌイット神話における深海の女王で、海獣を保護する女神です。元々は人間でしたが、父に見捨てられ海に落とされたことで深海の女神となりました。父であるアングタが船にしがみつくセドナの指を切り落とし、指はアザラシやセイウチ、クジラになったとされます。海底に沈んだセドナは海獣の母となって、今も深海から猟師たちに獲物を与えています。イヌイットのシャーマンは彼女の髪を梳く儀式を行って豊猟を祈ります。残酷に裏切られた娘は恵みを与える女神になったのです。

今日の闇の神:アングタ(イヌイット神話・セドナの父親)

 アングタ(ᐊᖓᑦᑯᖅ、angutquq)は人間だった頃のセドナの父親で、名前は「何かを切る男」という意味です。娘をある男に嫁がせたところ、相手が実はアホウドリだったと知って連れ戻そうとしました。逃げる途中で男が嵐を起こしていると考えたため、必死にしがみつく娘の指を切り落として海に沈めた冷酷な父親です。一部の伝承ではアングタ自身もアドリヴンという冥界の神となり、死者を導くとされます。アングタは厳しい自然環境を生き抜く過酷さを象徴する存在です。

光と闇

 セドナとアングタの物語は凄惨です。親に裏切られ、殺されかけた娘が、それでも恵みを与える女神となりました。極限の環境で生きるイヌイットの人々は、自然の恵みが残酷さと表裏一体であることを知っていたのでしょう。セドナの苦しみが、結果として豊かな海を生みました。苦しみなしに恵みはないという厳しい真理を表しています。何かが起きたあとにどのような道を選ぶかは、裏切られた者が決めることなのかもしれません。

この日のテーマ 裏切りの後に選ぶもの

 信頼していた相手に裏切られた経験はあなたをどう変えたでしょうか。セドナは父親に裏切られ、指を失い、深い海の底に沈みました。それでも父親への恨みに溺れず、海獣たちの母となって人々に恵みを与える道を選びました。裏切られたあとにどのような行動を取るかはあなた自身が決めるものです。相手を恨んだとしても、ほかの誰かに献身したとしても、その時のあなたにとって正しい選択なのではないでしょうか。

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