ロンゴロンゴが刻まれた魚の形のタブレット

ロンゴロンゴとは?イースター島に残された未解読文字の謎

解読の試みと主要な仮説

 19世紀末から現在まで、多くの研究者がロンゴロンゴの解読を試みてきた。

初期の試み

 1870年代のことだ。タヒチの司教テパノ・ヤウセンがイースター島出身のメトロ・タウア・ウレという男に板を読ませたことがある。メトロは記号を見ながら音読したが内容は断片的で、同じ記号に対して異なる言葉を当てることもあった。ヤウセンはこれを記録したものの、体系的な解読には至らなかった。

20世紀以降

 1950年代に入るとドイツの民族学者トマス・バルテルが包括的な研究を始め、字母のカタログ化を進めた。彼は一部の記号列を暦だと解釈したが、他の研究者からは異論も多い。現在学術的に議論されている仮説は以下の通り。特に議論となっているのが「ロンゴロンゴは本当に文字か?」という疑問だ。

仮説内容根拠問題点
表語文字(ロゴグラム)各記号が単語や概念を表す記号数の多さ(約600)音価が不明
音節文字各記号が音節を表すラパ・ヌイ語は音節構造が単純確証なし
記憶補助装置口承を思い出すためのメモメトロの詠唱との関係「文字」と呼べるか疑問
外来文化の影響西洋人到来後に発明された18世紀以前の確実な資料がない反証も弱い

文字か、記号体系か

 「文字」の定義は「言語を視覚的に記録するシステム」だ。つまり特定の言語として読めなければ厳密な意味での文字とは言えない。ロンゴロンゴについては、2つの可能性がある。

 ひとつは「ラパ・ヌイ語を記録した正真正銘の文字体系だ」という説。これが正しければ、ロンゴロンゴは太平洋の島嶼部で独自に発明された唯一の文字ということになる。文字の独立発生は世界史上でも極めて稀な出来事(メソポタミア、エジプト、中国、メソアメリカの4例程度とされる)で、証明されれば人類史上の大発見だ。

 もうひとつは、厳密な意味での文字ではなく「記憶補助装置」だという説。例えば歌や系譜を暗唱するときに手がかりとして記号を使っただけ、記号自体に固定的な読み方はないという可能性だ。この場合には解読という作業自体が成立しない。現時点では、どちらの説にも決定的な証拠がない。

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