365日 光と闇の暦 2月24日 戻らぬ弦の響き アルテミスとオリオン
戻らぬ弦の響き
今日の光の神:アルテミス(ギリシャ神話)
ゼウスとレトの娘であるアルテミス(Ἄρτεμις/Ártemis)は太陽神アポロンの双子の姉、狩猟と月と純潔の女神です。生まれてすぐに母の出産を助けたという伝承から出産の守護者でもあります。彼女は銀の弓を手に月夜の森を駆ける潔癖な処刑人です。永遠の純潔を誓った彼女の聖域を乱す者は容赦されませんでした。偶然水浴びを覗いてしまったアクタイオーンを鹿に変えて、彼自身の猟犬に食い殺させるなど苛烈な面を持ちます。普段は静謐な月光のように穏やかですが、一度その怒りに触れれば息絶えるまで逃がさない「峻烈な自然」を体現する女神です。
今日の闇の神:オリオン(ギリシャ神話)
オリオン(Ὠρίων/Ōríōn)は海神ポセイドンの息子で、伝説的な巨躯を持つ狩人です。父から授かった海の上を歩く能力を駆使し、「この世に倒せない獲物など存在しない」と豪語していました。類まれなる狩りの才能ゆえにアルテミスと深く心を通わせますが、その親密さが破滅を招きます。処女の誓いを立てた妹を案じ、また二人の仲に激しく嫉妬した兄アポロンは、海を渡るオリオンの頭部を黄金の標的に見せかけてアルテミスが射るよう仕向けました。オリオンは己の狩猟への慢心とアポロンの歪んだ愛の犠牲となり、愛した人の矢に倒れた悲運の狩人となったのです。
光と闇
アルテミスは自らの手で最愛のオリオンを射抜きました。アポロンの巧妙な策略があったにせよ、致命傷を与えたのが自分自身だということは事実です。彼女が自らに課した「純潔」という誓いを守ろうとする周囲の思惑が、最も残酷な形での別離を引き起こしました。アルテミスがオリオンを星座にして天に上げたのは永遠の愛の証明でしょうか。それとも自らが犯した罪を一生忘れないための戒めなのでしょうか。一度放たれた矢を呼び戻すことは、全能の神ゼウスにさえ不可能だったのです。
この日のテーマ 取り消せない選択
自らの正義やプライドを守るために、取り返しのつかない結果を招いてしまった経験はありませんか? 誰かの甘い、あるいは悪意のある言葉に乗せられて口にした一言が、大切な人を傷つけてしまうことがあります。一度口から出た言葉・一度下した決断はなかったことにはできません。相手を失ってからどれほど美しい思い出にしようとしても、あなたの手から失われた温もりが戻ることはないのです。
取り消せない過去と向き合うとき、私たちはその責任をどう背負えばいいのでしょうか。後悔が永遠に消えないと悟ったとしたら、あなたは自らの次の一歩をどう踏み出しますか?