エクアドルのアヤワスカセレモニー

大地と精霊からの叡智 アンデスとアマゾンのシャーマニズム

 南米のシャーマニズムでは人間が住む世界は霊的な世界と隔てられておらず、自然の中ですべてと結びついて生きています。自分たちの体調の乱れは地球が不調和を起こしているためだと考え、そのために自分たち人間がどう生きればいいかという叡智が代々受け継がれてきました。

アンデスのシャーマニズムと「Ayllu(アイユ)」

 アンデス地域の伝統医学では「allin kay(アリン・カイ、よく生きる)」と「allin kaway(アリン・カワイ、共に生きる)」ことが健康のために不可欠だと考えられています。病気は個人だけの問題ではなく、Ayllu(アイユ、家族や隣人、先祖の霊やスピリットたちを含む共同体)の調和が乱れている証拠なのです。

 そしてその状態を癒すために祈りや儀式を行います。癒しの原則として「Ayni(アイニ、互恵性)」と言う考え方があり、与えられたら必ず返す、与えたらまた返ってくるという循環のバランスを取ります。特に「Apus(アプス、山のスピリット)」はそれぞれの共同体の守護をしてくれるとされ、アプスに祈ることは生活のの一部となっています。

 儀式ではコカの葉を使ったリーディングや「despacho(デスパチョ、供物)」を組み合わせ、祈ります。アンデスの人々は儀式を通して人と人、人と自然、そして霊的世界との関係にバランスをもたらしてきました。

アマゾンの儀式とプラント・メディスン

 高地、山を大切にするアンデスのシャーマニズムに対して、アマゾンでは植物と音のエネルギーが重視されています。アヤワスカやマパチョは「マスタープランツ」と呼ばれ、師となるスピリットだと考えられています。シャーマンは断食や食事制限を通じて植物のスピリットと繋がり、その叡智を学びます。

 魔法の歌と呼ばれる「ikaro(イカロ)」はケチュア語で「癒しのために煙を吐く」という意味を持ちます。アヤワスカの儀式などで歌われ、植物のスピリットを召喚し、参加者の意識に深く働きかける歌です。soplada(ソプラーダ、マパチョの煙を吹きかける浄化)は植物を通して不要なエネルギーを手放す浄化の方法とされています。植物を使った激しい浄化のプロセスは嘔吐や発汗を伴います。肉体のデトックスでもありますが、魂にこびりついた古いストーリーを手放す儀式です。

日々「新しい自分」を生きる

 私たちは病や不安をもたらす古い物語に縛られず、自然やスピリットと共に歩む新しい物語を書くことができます。その物語は共同体との繋がりや全体性を取り戻し、大地や植物の声に耳を傾ける大らかな生き方を描いたものでしょう。南米の叡智は、険しい山や広大な森と川などの自然と共にある暮らしの中に生き続けています。南米のシャーマニズムの中心には、すべてのものが繋がっているという確かな感覚があるのです。

関連記事一覧