世界の都市伝説:きさらぎ駅
世界の都市伝説を巡るお話、略して『せとでん』。名古屋を走る電車とは全く関係ありませんのであしからず。
日本の都市伝説として2004年ごろから広がった「きさらぎ駅」。映画や小説、都市伝説やネットミームなどで取り上げられることも多く、ご存じの方も多いのかなと思います。それだけにどういう話だったのかどこから広がっていったのか曖昧な方もいると思いますので今一度まとめておきたいと思います。
2004年の1月始め、当時大人気の巨大掲示板”にちゃんねる”のオカルト板にあった”身のまわりで変なことが起こったら実況するスレ”に”はすみ”と名乗る人物による「気のせいかも知れませんがよろしいですか?」と書き込みがありました。
いつも通勤で使っている電車に乗っているが20分くらい駅に停まらずに走っている。他に5人の乗客がいるが皆寝ている。との事でした。その後、掲示板の住人とレスのやり取りをしていくと状況が変わっていきました。
・新浜松駅からの電車に乗っている(11時40分発)
・いつもは通らないトンネルを通った
・トンネルを抜けたらきさらぎ駅に停車した
・きさらぎ駅と言うのは聞いたことも見たこともない
・きさらぎ駅で降りたが無人駅
・乗ってきた電車は行ってしまった
タクシーでも探してみようと駅から出てみたものの周りには何もなく、ご両親にお迎えを頼んでみたもののきさらぎ駅がどこにあるのかわからないと言われてしまいます。オカ板の住民もきさらぎ駅の事を調べてはみるもののどこにあるのかさっぱりわかりませんでした。
はすみさんは線路に沿って歩きながらご両親からの連絡を待つと言って歩きだしました。周囲には民家や建物が無く、草原や山が見えるだけだと言います。しかし線路を辿って行けば帰れるはずだとそのまま歩いて行ってしまいました。
その後、父親から電話があるも110番しなさいと言われて助けを求めようとしますが、いたずらだろと怒られてしまって状況は変わりません。
仕方なく歩いていると遠くの方で太鼓を鳴らす音と鈴の音が聞こえると言い始め、駅に戻ろうとしますが怖くて後ろが振り向けず駅にも戻れないと。頑張って歩こうとしますが、後ろから「おーい危ないから線路の上歩いちゃ駄目だよ」と誰に叫ばれたそうで、駅員かと思って振り向いてみると片足だけのおじいさんが10mほど先に立っていたのですが、そのままスーッと消えてしまいました。
はすみさんは転んでしまったようで、ヒールが折れて、転んだ傷から血も出ていると散々な様子を書き込みました。そのころから鈴や太鼓の音がどんどん近づいていたそうです。
スレ住人からトンネルには入り口にトンネルの名前が書いてあるプレートがあるはずだからと言われたはすみさんは頑張ってトンネルの入り口まで行くと「伊佐貫」と書いてあると。スレの住民もネットを駆使して探しますが伊佐貫と言う名前のトンネルは見つけられません。太鼓の音も近くなってきているのでトンネルを抜ける決心をして進んでいきました。
その25分後、はすみさんがトンネルを抜けたことを書き込みました。”トンネルから出ました。先の方に誰か立っています。助言して頂いた通りにして正解だったようです。ありがとうございました。涙で顔がグシャグシャなのではすみがお化けに間違われてしまうかもしれませんね。 ”
どうやらトンネルを抜けた先に人がいて助けてくれることになったようでした。”ご心配かけました。親切な方で近くの駅まで車で送ってくれる事になりました。そこにはビジネスホテルみたいなものがあるらしいです。皆様本当にありがとうございましたです。”
これで解決した。スレの住民もそう思っていましたが、”先程よりどんどん山の方に向かってます。とても車を置いて置く場所があるとは思えないのですが。全然話してくれなくなってしまいました。” 助けてくれると思っていた人の様子が段々おかしくなっていったそうです。
”もうバッテリーがピンチです。様子が変なので隙を見て逃げようと思っています。先程から訳のわからない独り言を呟きはじめました。いざという時の為に、一応これで最後の書き込みにします。 “
この書き込みを最後にはすみさんからのレスは途切れてしまいました。これがオリジナルの「きさらぎ駅」の全貌です。最初に書き込みがあってから4時間ほどの出来事でした。その後、真偽は怪しい”はすみ”を名乗るものが出てきたりもしましたが、本人からの書き込みはありませんでした。
この話がまとめサイトに乗ったり、Twitter(現X)で紹介されると一気に都市伝説として広がりました。スレの住民を巻き込んで実況となった事で信憑性や神秘性が増したのだと思います。
・電車という閉鎖的で受動的なシチュエーションで起きたこと
・日常の延長で起きそうかもと思わせた
・実在しない場所で展開するストーリー
・ネットで調べることも出来ず、何も出来ないスレ住民のもどかしさ
・一方的な読み物ではなく、スレ住民を巻き込んだ劇場型だった
・はすみさん本人からのレスが途絶えてしまって謎のまま終わってしまう
これらがこの「きさらぎ駅」が広まったポイントだと思います。こういう面白い出来事が起きていたのもにちゃんねるだったと思います。今となってはネタだったのか本当に起きたことなのかをはかり知ることは出来ませんが、あの時代だったからこそ出来上がったストーリーと広がり方だったのかとも思います。
もしあなたが「きさらぎ駅」に迷い込んでしまったら…にちゃんねるにスレ立てをして真実を伝えてくれることを祈っています…