ロバート人形

ロバート・ザ・ドール アメリカ・キーウェストの呪われた人形

 アメリカ・フロリダ州キーウェストのイースト・マルテロ博物館にある人形には、毎日世界中から多くの手紙が届く。ロバート・ザ・ドールと呼ばれる人形だ。身長は約100㎝、色褪せたセーラー服を着て小さな犬のぬいぐるみを抱えている。その顔は薄らと笑みを浮かべているようにも見えるのだがー。

 届く手紙のほとんどは謝罪だ。「無断で写真を撮って申し訳ありませんでした」「どうか呪いを解いてください」「あなたを馬鹿にしたことを後悔しています」…。手紙の送り主たちは、この人形に失礼な態度をとったことで不幸が降りかかってきたと信じている。

ロバートの誕生

 ロバートの背景については複数の説があるが、1900年代初頭にドイツのシュタイフ社で製造されたらしい。シュタイフ社はテディベアを生み出したことで知られる老舗玩具メーカーだ。博物館によるとロバートは子供用の人形ではなく、ショーウィンドウにディスプレイするために作られた可能性が高いという。

 人形はキーウェストの名家オットー家の息子、ロバート・ユージン・オットー、通称ジーンに贈られた。誰が贈ったかについては二つの説がある。

祖父からの贈り物説  ジーンの祖父がドイツ旅行の際に購入し、孫への土産として持ち帰ったという説。
呪われた贈り物説  オットー家で働いていたバハマ出身の女性が主人たちからの虐待を恨み、ブードゥーの呪いをかけた人形をジーンに贈ったという説。

 よく知られているのは後者の説だが、どちらが真実かはわかっていない。キーウェストの郷土史家デイヴィッド・スローンが調べたところ、使用人の女性はエメリン・アボットという名前で、その娘の霊が人形に乗り移ったとも言われている。

 ジーンは人形の名前を「ロバート」にして、自分自身はニックネームの「ジーン」と呼ばれるようになった。少年と等身大の人形は、どこへ行くにも一緒だったという。だが、すぐに奇妙な出来事が起こり始める。

ロバートがもたらした恐怖

 ロバートの両親は、ジーンが自分の部屋で誰かと話しているのを何度も聞いている。ジーンの声と、全く異なるもう一つの声。だが両親が部屋を覗いても、ジーンは人形と一緒に座っているだけだった。

 また、夜中にジーンの悲鳴で家族が飛び起きることもあった。大人たちが駆けつけると家具は倒れおもちゃは壊された状態で、怯えたジーンがベッドの上で震えている。ジーンは毎回こう言った。

「僕じゃない。ロバートがやったんだ」

 オットー家の使用人たちは、人形が家の中を動き回っているのを目撃したと言っている。近所の子供たちも「オットー家の2階の窓から人形が自分たちを見下ろし、嘲笑っていた」と証言した。人形が窓から窓へと移動していて、まるで学校に向かう子供たちを追いかけているようだったという話もある。

 耐えかねた両親はロバートを屋根裏部屋に閉じ込めたが、家の中では足音やくすくす笑う声が聞こえ続けたという。

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