頭三つの蛇
花江はゆうこが使っていた金属製のタンブラーを見つけ、支持された通り塩の上に置いた。タンブラーからは、髪の毛とおぞましいほど強い臭気を放つコーヒーではない黒い液体が出てきた。ゆうこという女の髪や爪、考えるのもおぞましい彼女の一部だったものだ。神をハレから穢にまで貶めるのに手段は選ばぬといったところか。
「花江さん離れて!この呪い、浄化して返す?そのまま返す?」
「そのまま返してください!さすがに腹が立ちます!!」
ですよね!これを仕掛けた下法のゆうこ!人の神に唾を吐いたんだから、覚悟はできてるんでしょうね。傷を負った人たち、宇賀神さま、そして宇宙の神からお返しだ!言うや鋭い呼吸音が響く。花江は不思議な光景を見た。受話器を通して聞こえる呼吸音が光になり、薄暗い店内を光が包んだのだ。
女はタバコに火をつけ、煙を深く吸い込んだ。ふう、終わった…。受話器越しに放心状態の花江が「あんなことをして神さまは許してくれるんでしょうか…」と心配している。女は答えた。「花江さんは大丈夫!神を必要以上に畏れる必要はないの。でも神を利用しようとしたら…人は神の本当にありように気づく、その恐ろしさにもね!」
後日、花江からきたお礼の連絡には、例のゆう子という占い師について書かれていた。ほかの占い館に所属していたゆう子がいつものようにお客さんにマウンティングしているとき、突然大量の髪の毛を吐き出し病院に運び込まれた。飲み込んだ髪の毛を吐き出しのだと思われたが、驚くことに口の中や喉、胃に「生えていた」そうで、しばらく占い師たちの間はその話題でもちきりだったそうだ。体調と客足、そして少しずつ髪の毛が戻ってきたと手紙にはあった。