空飛ぶ軟膏の正体は
全裸でホウキにまたがり、人里離れた山奥で開催されるサバトへと飛んでいく魔女。そんな図柄は、もうお馴染みでしょう。その飛行を可能にした大きな裏方が「空飛ぶ軟膏」です。
実在の魔女たちは、必ずホウキにまたがる前に、全身にこの入念に軟膏を塗り込んでから大空へと飛び立っていったとされています。つまり、魔女の飛行に本当に必要だったのは、箒ではなく、この軟膏なのです。
16世紀の文献によれば、飛行軟膏の材料は、洗礼前に死んだ幼児の脂肪、セロリ、トリカブト、蛇苺の汁、オピウム、タバコ、毒ニンジン、だとされています。洗礼前云々は魔女が悪魔の影響を受けていると言いたいがための一文なので、実際の薬効とは無関係。でも、混ぜ込まれるハーブの方には、タバコに含まれるニコチンを始め、麻痺を招くような強い植物性アルカロイドが含まれるハーブが多いのがよく分かます。
また、現代アメリカの魔女たちはこんなレシピを使っているともいいます。
ハンドクリーム 一瓶
植物性油脂 ティースプーン1杯
ベラドンナ ティースプーン半分
液体洗剤 3滴
トリカブト・ジュース 小さじ半分
マリファナ 好きなだけ!
いかにもすぐに作れそうですが、ハンドクリーム一瓶が一体何グラムなのかもわかりませんし、トリカブトといいマリファナといい、日本では使ったら違法なものが入っているのをお忘れなく!
実際にこうした飛行軟膏を使った女性たちの証言では、軟膏を全身に塗り込んだら、ふわりと体が浮いた「感じ」がして気を失い、それからサバトの会場まで飛んで行った……と語られています。そこから推測するに、物理的に空に浮かんだというよりは、ハーブの薬効によって通常の身体感覚が麻痺し、浮遊感と幻覚を体験していたのだろうと思った方が良いでしょう。
こんな強いハーブは、死の危険とも隣り合わせです。あくまでも、過去の処方としておくのが無難でしょう。
(ヘイズ中村 魔女・魔術師&占い師・執筆家
中学生時代から研究と修行の道に入ったのに神秘性の欠片もない神秘家
HP https://www.fortunamoon.com)