コーデックスギガス

世界の都市伝説:コーデックスギガス

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 世界の都市伝説を巡るお話し、略して『せとでん』。名古屋を走る電車とは全く関係ありませんのであしからず。

 今回は都市伝説ではなく、実在している”物”をご紹介したいと思います。と言っても大分オカルティックなものなのでしばしお付き合いください。

 「コーデックスギガス」は中世ヨーロッパで作られた巨大な写本で、通称「悪魔の聖書」としても知られるとても有名な書物です。現存する最大の装飾写本としても知られています。その大きさは、縦が92cm、横が50cm、厚さが22cmで重さが74.8kgもあります。75kgの本なんて想像できない重さですよね。

 この本自体はロマネスク様式のラテン語で書かれた聖書で、本の後半には世俗的なテキストも追加されています。大きな写本はロマネスク様式の修道院ではよく作られていましたが、この大きさと重さの写本は異例のサイズです。

 この写本が作られたのは13世紀前半、現在のチェコにあたるボヘミア地方で作られたと言われています。この時代はキリスト教の中でもカトリックが強い権力を持っていて、聖職者は貴族の次に位が高かったとされています。素材は羊皮紙で、160頭分のロバか子牛の皮で作られ、表紙には金属製の装飾が施されています。権力を示す意味でもこの大きくて豪華な聖書は意味があったのかも知れませんね。

 写本と言うのは、印刷技術が無かったころ、本の複製は人の手によって行われていて、オリジナルの原本を書き写したものを写本と呼びます。中世ヨーロッパでは主に修道院を中心に作られました。主にキリスト教を布教するために聖書を作りたかったって訳ですね。

 このコーデックスギガスもある人物によって書かれたものと言われています。その人物とコーデックスギガスが作られた背景が伝説的に伝わっていて、この話がオカルト寄りなんです。

 その伝説によると、ベネディクト近郊にある修道院にいた隠遁者ヘルマンによってコーデックスギガスが作成されたそうです。彼は修道士の禁を破った罪で生きたまま壁の中に閉じ込められる刑を言い渡されてしまいました。死を免れるために、一夜にしてあらゆる人類の知識を網羅し、修道院を永遠にたたえるための書物を作成すると誓いました。

 あらゆる知識と言うのはおそらく聖書の事だったんだと思います。聖書が全てであるからこそ宗教ですしね。しかし、真夜中近くになると不可能だと感じ絶望に打ちひしがれてしまいます。どうせ死んでしまうなら…と彼は堕天使であり、魔王であるルシファーに、自らの魂と引き換えに写本を完成させて欲しいと契約をしてしまったのです。そして悪魔は写本を完成させ、ヘルマンは貢物として悪魔の肖像画を書き足したと言われています。

コーデックスギガスを見てみると、最初から最後まで字体は一人の人物が書いたように同一のものをしています。加えてこの大きさの写本なのでもちろん1日で製作するのは不可能です。この作品を再現するにはテキストのみで20年間休みなく書き続ける必要があると言う検証結果があるくらいなので、仕事量としては相当大きなものでした。


 じゃあやっぱり伝説は伝説でしたねってことなのかと言うと、現代の筆跡鑑定の結果、一人の人物が書いたものだという結果が出たのです。何年も何十年もかけて作ったとしても筆跡の変化や羊皮紙やインクが劣化していないこともとても不可解な謎があることもわかりました。

 この伝説にあったように悪魔に書いてもらった写本だとすると、その証明を現代科学が後押ししたようにも思えますよね。この不思議なコーデックスギガスは現在スウェーデン国立図書館が所蔵しています。ウェブサイトでデジタルデータとして見ることが出来るので、あなたの目でも確かめてみてくださいね。フォントがとにかくかっこよくてそれだけでも一見の価値はありますよ!

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