テノチティトランの神殿テンプロ・マイヨール

『メキシコの神々』第一章・序論 1-13 メキシコにおける信仰の統一

Éclusette, CC BY 3.0 https://creativecommons.org/licenses/by/3.0, via Wikimedia Commons
※著作権の切れた書籍を翻訳・意訳して掲載しています。『The gods of Mexico』Lewis Spence 翻訳した文章©StellaCircus

 アステカは自分たちの神を中核に据えつつ、征服した人々の信仰を取り込んだ信仰を確立していった。彼らは周囲の部族の神々を無視できないほど強力なものだと考え、力の劣る神々は「幽閉」され、テノチティトラン大神殿の一角にそれらの像が収められた。

 各地の信仰は、すべてが同じ影響を受けていた。初期に生まれた宗教形態がその後数世紀に渡って分かたれ、征服によって再びまとめられたのだ。だが統合された信仰も、侵略者によって最終的に破壊されることとなった。

 この時代のメキシコ宗教は全体として均質で、地方差はごくわずかなものだった。遠隔地の信仰でさえ首都の信仰形式からそれほど逸脱せず、「メキシコの信仰」と呼ぶにふさわしい統一性を備えていた。これは土着の「雨の祭祀」を基盤に、後から加えられた宗教的・倫理的要素が融合した結果だろう。

 土着の神々は一定の独自性を残しつつも、すでに国家的信仰へと組み込まれていた。また神々の体系は階層や身分制度を映し出すほどに整えられていたが、その神話的素材は今日では部分的にしか残っていない。そして事実上、すべての神々が雨の祭祀と結びつけられていた―雨の祭祀こそ核であり基盤だったからだ。農業を司る神々の多くはトルテカや他民族に由来し、チコメコアトルはトルテカの神、トラソルテオトル、ショチケツァル、シロネン、シンテオトル、シペといった神々は定住民の古い信仰に由来するという。彼らは早い時期にトナラマトル(暦書)に登場しており、古くから祀られていたことがわかる。

 宗教学者の中には、アステカ信仰を避ける者も少なくない。「悪魔的」とされる評判や、目を背けたくなるような凄惨な儀式があったからだ。だが、司祭や民衆の真摯な姿勢を考え、世代を超えて背負わざるを得なかった制度だったと理解するなら、より大きな視点から豊かな学びを得ることができるだろう。アステカは宗教科学・伝統の研究に役立つ証拠が豊富で、また鮮やかな色彩と多様なシンボルも学ぶ者にとって大きな魅力だろう。

 ウィツィロポチトリの大神殿に鳴り響く蛇皮の太鼓の音。それは雷鳴のようにテノチティトランの空を揺るがし、今では失われた信仰の魂を雄弁に物語っていただろう。恐ろしくも壮麗な儀礼は、人間が神々の前でいかに無力であるかという感覚を呼び覚ます。それは原始宗教が一貫して追求してきた感覚で、理性でも否定できないほどの真理として迫ってくるのだ。

第一章・了

『メキシコの神々』ルイス・スペンス 序章
『メキシコの神々』第一章・序論 1-1
『メキシコの神々』第一章・序論 1-2 メキシコ宗教の古代性
『メキシコの神々』第一章・序論 1-3 メキシコ宗教の起源 ― 異文化融合と信仰体系の形成
『メキシコの神々』第一章・序論 1-4 メキシコにおける初期宗教の痕跡
『メキシコの神々』第一章・序論 1-5 成長の要素の神格化
『メキシコの神々』第一章・序論 1-6 原始的影響の証拠
『メキシコの神々』第一章・序論 1-7 アニマル・ゴッド
『メキシコの神々』第一章・序論 1-8 雨の神格化、生贄
『メキシコの神々』第一章・序論 1-9 メキシコ後期における信仰の要素
『メキシコの神々』第一章・序論 1-10 メキシコ宗教に見られる文化的要素
『メキシコの神々』第一章・序論 1-11 ケツァルコアトル信仰の広まり
メキシコの神々』第一章・序論 1-12 黒曜石への信仰

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