ファラオの夢診断を行うヨセフ

夢占いの起源 3000年前のエジプトに残る最古の夢辞典

チェスター・ビーティ図書館, Public domain, ウィキメディア・コモンズ経由で

 フロイトが『夢判断』を出版する3000年以上前、古代エジプト人はすでに夢の意味を体系的にまとめていた。それが大英博物館に所蔵されている『チェスター・ビーティ・パピルス3世』、いわば最古の夢辞典だ。

最古級の夢判断書

 このパピルスは紀元前13世紀頃、ラムセス2世の時代にテーベ(現在のルクソール)近郊のデイル・エル・メディナで書かれた。だが文書に使われている言葉から見て、内容自体は中王国時代(紀元前2040〜1640年頃)にまで遡ると考えられている。

 パピルスは書記ケンヘルケプシェフが所有していたが、その後妻の再婚相手、そしてその息子へと100年以上に渡って受け継がれた。裏にはラムセス2世のカデシュの戦いを記した詩が書かれており、この文書が一族から大切に扱われていたことがわかる。そして現存するパピルスには139の吉夢と83の凶夢、合計で222種類の夢判断が残っている。

パピルスの形式

 各項目は決まった形式で書かれている。「もし男が夢の中で○○を見たら ─ 吉/凶。△△を意味する」というフォーマットだ。凶夢の「凶」という文字は赤インクで書かれているが、赤は古代エジプトで不吉な色と見なされていたので視覚的な警告にもなっている。

実際の夢判断の例

吉夢

夢の内容意味
川に沈むすべての悪から清められる
ワニを食べる人々の上に立つ役人となる
老人を埋葬する繁栄
自分より偉大な者を見る昇進
上にいる神を見る多くの食べ物を得る
喪に服している自分を見る財産が増える
死んだ牛を見る敵の滅亡を見届ける
牛を殺す敵を倒す
蛇を見る食べ物を得る
大きな猫を見る豊作が訪れる
ロバの肉を食べる昇進
自分の顔が豹になる指導者として振る舞う
雌カバを切り分ける王宮から大きな食事を得る

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