アスクレピオス

365日 光と闇の暦 4月14日 蛇と再生 アスクレピオスとヒュドラ

今日の光の神:アスクレピオス(ギリシャ神話・医術の神)

 アスクレピオス(Ἀσκληπιός/Asklēpiós)はギリシャ神話の医術の神で、アポロンの息子です。ケンタウロスのケイロン(Χείρων/Kheírōn)から医術を学び、死者すらも蘇らせる力を得ました。カドケウスの杖には2匹の蛇が巻きついていますが、アスクレピオスの杖は一匹の蛇が巻きついたもので、現代でも「医学・医術」を表すシンボルとして使われています。蛇は脱皮して成長していくことから、再生と治癒の象徴とされています。

今日の闇の神:ヒュドラ(ギリシャ神話・九頭の水蛇)

 ヒュドラ(Ὕδρα/Hýdra)はギリシャ神話に登場する水蛇で、レルネという沼に棲んでいました。九つ、もしくはそれ以上の頭を持ち、一つを切り落とすと二つ生えてくるという再生能力を持っていました。中央の頭は不死で毒の息を吐くうえに血は猛毒という恐ろしい怪物で、ヘラクレス(Ἡρακλῆς/Hēraklês)の矢を毒の矢にしました。ヘラクレスはヒュドラの首を切った後、火で焼いて再生できないようにし、不死の頭は岩の下深く埋めました。

光と闇

 アスクレピオスの蛇もヒュドラも同じ「蛇」として再生を象徴していますが方向性は正反対で、アスクレピオスの蛇は治癒を、ヒュドラは破壊をもたらします。同じ再生の力ですが、使い方によっては癒しにも脅威にもなるのです。古代から蛇は善悪両面を持つ両義的なシンボルとなってきました。蛇の毒から血清や薬を作ることができるように、力そのものは中立的なものなのではないでしょうか。

この日のテーマ 再生という両刃

 アスクレピオスの蛇は毒から薬を作り、ヒュドラは首を切るたびに暴力的に増殖していきます。同じ蛇の力が治癒にも破壊にもなるなら、力に方向を与えているものは何なのでしょうか。アスクレピオスの蛇もヒュドラも再生という同じ原理で動いているのに、両者を分けている何かが存在します。それは使う者の意図か、あるいはタイミングか―毒が薬に変わるその境界線は、どこに引かれているのでしょうか。

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