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シュタイナー教育のエッセンス 家庭でもできる実践ガイド

1. はじめに

 学校以外でのオルタナティブ教育への関心が高まり、詰め込み・テスト至上主義とは一線を画すシュタイナー教育が注目されています。芸術や手作業を大切にしたシュタイナー教育は子供の個性を尊重して全体性を育むことを目指しており、「落ち着きがない」「授業中に立ったり歩き回ったりしてしまう」「先生に話しかけすぎる」などの行動がある子供たちの保護者から「シュタイナーなら合うかも」という期待が寄せられています。その一方、「専門療育ではない」「合う合わないがある」「親の手間がかかる」という話も。

 そこで、シュタイナー教育の理念から実践、家庭で取り入れる方法、大人に役立つ方法などを見ていきたいと思います。

2. シュタイナー教育の基本理念

 オーストリア生まれの哲学者・教育者・神秘思想家で教育・農業・医療・芸術など多分野で活躍したルドルフ・シュタイナー。彼は子どもの成長を「頭(思考)・心(感情)・手(意志)」の三位一体として捉えました。発達を7年ごとに区切り、0〜7歳(小人期)は模倣と身体作り、7〜14歳(中人期)は感情と想像力、14〜21歳(大人期)は思考と自立を主要テーマとしています。シュタイナー教育ではこの段階に応じてカリキュラムが組み立てられています。頭を使った「勉強」だけでなく実際の作業や体験、自然とのふれあいを重視するという特徴があります。

3. 日本にあるシュタイナー教育の学校

 日本にあるシュタイナー学校には「北海道いずみの学校(幼小中高15年一貫)」、神奈川県の「シュタイナー学園」、東京の「東京賢治シュタイナー学校」などがあります。どの学校も小規模・少人数制でクラス定員は20〜30名程度が多く、担任が8年間同じクラスを受け持つ「長期伴走」方式をとります。

 物語・芸術・手仕事・農業体験などから学ぶ統合的なカリキュラムが組まれ、中には1年生から2つの外国語を学ぶ学校も。テストや通知表での評価は基本的に行われず、教師による観察やレポートがその代わりになります。

4. 発達特性を持つ子供にとってのプラス面

 シュタイナー教育では視覚・聴覚刺激を減らし自然素材や一定の生活リズムが重視されるなど、感覚過敏や多動傾向の子供でも落ち着きやすい環境だと考えられます。テストでの評価がない、手仕事や実際に体験する活動が多いのも自己肯定感を保ちやすい要素でしょう。

 羊毛や木など手触りのいい素材に触れることで子供が落ち着くようになったという声もあります。手仕事・物語・詩・演劇などの活動は集中力や想像力を育て、生活リズムを整えることでいつ何をするかがわかり安心感が生まれます。

5. 気をつけるべき点

 ただし、シュタイナー教育は発達特性を持つ子供のために考えられた教育方法ではありません。専門的支援は基本的に行われませんし、教師によってどのくらい配慮してくれるかも異なるでしょう。自由そうではありますがカリキュラムの進度はしっかり決まっているので、合わない子どもにとっては逆に負担になる可能性もあります。テストがないため一般的な「学力」の遅れが顕在化しにくく、中学生以降に表面化したという例も…。また学校だけでなく家庭でも同じ哲学での教育が求められます。テレビ・ゲームの制限などの理念を徹底するのはなかなか難しく、中には親の負担が大きいという声もあります。家庭の環境調整は家庭でしかできないので、親の参加がどうしても必要になります。

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