プラトンによる「魂の育成」方法とその哲学
紀元前427年に生まれたプラトンは哲学者として知られ、現在でも多くの著書が出版されています。実はけっこうスピリチュアルで、霊的な世界についてもかなり説明しているプラトン。今回はそんなプラトンによる霊的世界と練習方法をご紹介します。
プラトンによる宇宙と魂の仕組み
イデア界(Idea / ἰδέα)
プラトンは、目で見える世界の背後に壊れない「型」の世界があると考えました。椅子や机は壊れるものですが、大元には「椅子そのもの」「机そのもの」の完璧な型があるとして、その「型」の世界を「イデア界」と名付けました。
宇宙霊魂(Anima Mundi / ψυχὴ τοῦ κόσμου)
『ティマイオス(Timaíos / Τίμαιος)』では、宇宙全体がひとつの魂を持ち、宇宙に遍在する原理的なものだと説明しています。この魂はアニマ・ムンディと呼ばれ、人間の魂もその原理の中にあるとされます。
デミウルゴス(Dēmiourgos/Δημιουργός)
古代ギリシャ語で「職人、製作者」という意味の単語ですが、プラトンはイデアに沿って世界を作った「造物主」をこう呼びました。グノーシス派では物質世界=魂の牢獄を作った最高神より下位の存在とされたりもします。
魂を教育する
私たちが日常で現実だと思っているものは「真実の影」だとプラトンは考えました。魂は肉体に収まることで感覚世界に囚われ、イデア界の記憶を忘れてしまうのです。そこで彼は「魂を育て直す」ことを考えました。プラトンが「教育(paideia)」と呼んだのは外部の知識を覚えることではなく、魂が見る方向を影から光に向け直すこと、魂を自ら育てる訓練を意味します。
この過程は「魂の転回(Peristrophē/περιστροφή)」と呼ばれます。暗い洞窟の中で壁に映る影を見て「世界」だと思っている人は、外に出て太陽(善のイデア)を見たとき初めて真実に触れられる―『国家』第7巻の「洞窟の比喩」は、この転回を例えたものです。
プラトンによる「魂を育てる」哲学
1. 問答法(Dialektikē/διαλεκτική)と想起(Anamnēsis/ἀνάμνησις)
プラトンにとって「知識」は詰め込むものではなく「魂が本来知っていたことを思い出す(想起=アナムネーシス)」ものでした。その実例として『メノン(Menōn/Μένων)』に描かれたのが、ソクラテスが無学な奴隷の少年に幾何学の問題を出す場面です。
ソクラテスが「2フィート×2フィートの正方形の面積を二倍にするにはどんな正方形にすればよいか」と少年に尋ねた。
少年は「辺の長さを二倍にすれば面積も二倍になる」と答えたが、実際に線を引くと面積は4倍になった。
ソクラテスは「対角線を使うとどうなるか」と質問した。
少年は一辺を√2倍にした正方形(対角線の長さを辺にする)を導き出し、面積が二倍になることを理解した。
これが「魂の中に眠っている知識を問答で呼び覚ませる」、アナムネーシスの実例とされました。