ロバート・ザ・ドール アメリカ・キーウェストの呪われた人形
画家になったジーンと人形の再会
成長したジーンはニューヨークとパリで美術を学んで画家となり、パリで結婚したあとキーウェストの実家に戻った。ジーンは屋根裏に閉じ込められていたロバートを再び自分の部屋に連れていった。2階の塔のような部屋──かつては子供部屋で、今はアトリエとなった部屋──で、ジーンは人形をそばに置いて絵を描いた。人形は窓際に置かれ、外を見つめていた。
妻のアネットはジーンの人形への執着に対して嫌悪感を抱いていた。それでもジーンは人形を手放そうとしない。近所では「窓際に座るロバートの表情や位置が変わる」と噂になり、学校帰りの子供たちは相変わらず「人形が動いている」と言った。アネットは精神的に不安定になって人形を屋根裏に戻すよう懇願、最終的にロバートは杉の箱に収められて屋根裏に戻った。
1974年にジーンが死去、アネットもその2年後に亡くなった。
新しい所有者たち
オットー家の邸宅は売却された。新しい所有者家族の娘が屋根裏でロバートを発見し、自分の部屋に持ち帰る。新しいおもちゃに喜んでいた少女だが、すぐに恐ろしい体験をするようになった。
- 人形が夜中に部屋を歩き回る
- 人形が自分を傷つけようとしている
- 人形が笑い声を上げる
少女は大人になってからも、「ロバートは生きていた」と主張し続けている。
マートル・ロイターの時代
その後、邸宅はマートル・ロイターという女性が所有することになった。彼女はロバートに興味を持っており、人形の中に子供の霊が宿っていると信じていた。彼女は愛情を持ってロバート人形を扱っていたが、それでも人形は勝手に部屋を移動したり夜中に笑い声を上げたりしたという。
1994年になって、マートルは博物館にロバートを寄贈した。「人形が家の中を勝手に動き回り、部屋に閉じ込められた」という理由だった。
博物館のロバート
フォート・イースト・マルテロ博物館に移されたロバートはすぐに人気展示品となったが、博物館でも異変は続いた。
電子機器の誤作動 ロバートの展示ケースの前では、カメラや携帯電話が頻繁に誤作動を起こすと言われている。写真がぼやける、バッテリーが急に消耗する、保存したはずの画像が消えているなどといった事例は後を絶たない。 許可を求めるルール 博物館は訪問者に一つのルールを課している。「写真を撮る前に、必ずロバートに許可を求めること」。 このルールを無視すると、あとになってさまざまな不幸に見舞われるのだという。 ・自動車事故 ・骨折 ・離婚 ・失業 ・病気
博物館の壁には、ロバートに懇願する何百通もの手紙が展示されている。手紙は今も毎日届き、その数は1000通を超える。
「許可なくあなたの写真を撮ってしまいました。申し訳ありません。夫の指輪からダイヤモンドが外れ、私は肩を痛め、娘の結婚式はキャンセルになりました。すべて帰国前のことです。本当にごめんなさい。人生がつらすぎるのです」
「声に出して許可を求めなかったことを後悔しています。どうか呪いを解いてください」
映画とポップカルチャー
ロバートの伝説は映画界にも影響を与えた。1988年の映画『チャイルド・プレイ』に登場する殺人人形チャッキーは、ロバートからインスピレーションを得たとされる。
2015年からはロバートを題材にした低予算ホラー映画シリーズが制作され、『ロバート(Robert)』(2015年)、『ロバート・ザ・ドールの呪い(The Curse of Robert the Doll)』(2016年)、『おもちゃメーカー(The Toymaker)』(2017年)、『ロバート・ザ・ドールの伝説(The Legend of Robert the Doll)』(2018年)、『ロバートの復活(Robert Reborn)』(2019年)と続いている。
呪いは本物か
ロバート人形の呪いについては、いくつかの解釈が可能だ。
残留思念説
オカルト的な観点から見ると、ジーンが幼かった頃人形に注いだ強い感情的エネルギー、もしくは使用人の女性がかけたブードゥーの呪術が何らかの力を与えたと解釈できる。
心理的投影説
芸術家気質のジーンがその内面を人形に投影していた可能性。「ロバートがやった」ことにして自分の攻撃性や破壊衝動を人形に押しつけていたのかもしれない。
確証バイアス説
「呪われた人形」だと信じている訪問者は、その後の不幸を選択的に記憶する。写真を撮って何事もなかった人は何もしないが、たまたま不幸が起きた人は「人形のせいだ」と考えて手紙を送る。
集団心理説
「許可を求めずに写真を撮ると呪われる」という物語は、来館者に緊張感と物語に参加している感覚を与える。博物館がこの物語を維持することで、展示の魅力を高めている側面がある。
ロバートに会いに行く
ロバート人形は現在もフォート・イースト・マルテロ博物館に展示されている。
- 場所: 3501 S Roosevelt Blvd, Key West, FL 33040, USA
- 開館時間: 毎日10:00〜16:30
- 入館料: 一般15.50ドル(変動あり)
写真を撮るなら必ず事前に「ロバート、写真を撮ってもいいですか?(Robert, may I take your picture?)」と声に出して許可を求めるのをお勧めする。許可を得たと感じたら撮影してもいいだろう。でも、もし何か嫌な感じがしたら…撮影はしない方が賢明かもしれない。
ロバート人形は「呪われた人形」の中でも特に有名で、最も多くの目撃証言がある。その「呪い」が本物かどうかは誰にもわからないが、100年以上も語り継がれてきた証言の数々を全部作り話と考えるのは難しい。
少なくとも何千人もの人々が謝罪の手紙を送っているという事実を考えると、ロバートには何らかの「力」があるのかもしれない。それが超自然的なものなのか、心理的なものなのかは、あなた自身で判断してほしい。