呪いと呪術の違いって? 呪いが成立する条件

【呪術ってなんだ】

 イギリスの人類学者ジェームス・フレイザーは『金枝篇』で呪術を分類しています。

感染呪術
・誰かの力にあやかってその力を得ようとするもの
・過去に接触したものや全体の一部を使って、全体に影響を与えようとするもの
・接触したことがある/一つだったもの同士は離れても影響し合うという考えに基づく

敵対する部族を殺し、その皮を被ることで相手の力を手に入れようとする
呪いたい相手の爪や髪を燃やしながら呪文を唱えるなどで相手を傷つけようとする

類感呪術/模倣呪術
・似たものは互いに影響し合うという考えに基づいたもの
・実際の人間やものの代わりに似たものを使って作用させようとするもの
・因果律に基づく

丑の刻参り(人間の形をした人形を害して対象となる相手に苦痛を与えようとする)
てるてる坊主(太陽を模したもの)を吊すことで本物の太陽を呼びだそうとする
雨乞いで水を撒いたり、太鼓を鳴らして雷を呼ぼうとする
【呪いが成立する条件】

 もし感染呪術の概念が成立するなら、過去につきあっていた相手を呪うのは簡単かもしれません。家族は腸内細菌を共有すると言われるくらいなので、身内を呪うのも簡単でしょう。では、呪うという行為は簡単だとしても、効果という点ではどうでしょうか。

 平安時代の陰陽師は「あなたは呪われています」と呪いたい相手に伝えるのが仕事だったという話があります。現代より呪いというものに対して怖がる人が多い時代です。人々は「呪われたら大きな不幸が起きる、病気になったりする」と信じていました。丑の刻参りにしても同じです。今より密な近所づきあいがあった時代、呪いの対象だと噂されたら身の縮まる思いだったでしょう。

 呪いが成立するためには「本人が呪われていると知っている」ことが必要なのです。逆に「どれだけ恨みを買おうがどうでもいい」タイプの人や「呪いなんてあってたまるか」という相手では、呪ったと伝えても大きなダメージはないでしょう。

 この現代に呪いを成立させるためには、なかなかの下準備が必要かもしれません。

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